ただ、地面が遠くまで広がっている原っぱを、黒い幼いぶたが歩いていました。
お母さんが死んでしまったのに、寂しい言うことも分からないほどの、幼いぶたです。一匹のちょうちょが飛んできて、まっすぐ歩いていくと海がある事を教えてくれました。
とことこ歩いて行って、とうとう海に着きました。
海に沿って歩いていくと、森に入ります。
そこの樫の木が語り掛けました。
『ここは、おかあさんのお腹の中なのさ。海も、森もみんな。』
小さなぶたは海の中に倒れている大木の上に乗って、海へ漕ぎ出します。
海の深いところから盛り上がってくる波が、昔の話を聞かせてくれます。
雨が降って来たときも、雨が木の根っこから海へ栄養を運んでくることを教えてくれます。
小さな黒いぶたが辿る、壮大な自然と歴史の旅物語です。
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