海の入り江の岩場に、小さな青い魚が棲んでいました。
広い海を見に行きたくても、岩場の入り口に棲んでいるウツボが怖いので、いつも怯えて暮らしているだけなのです。小さな青い魚は、時々住処の前を横切る大きな緑色の魚に憧れていました。
悠々と泳ぐ姿はとても綺麗で立派なのです。
或る日、緑色の魚は小さな青い魚に声を掛けて来ました。
『さあ、でておいで。こわくはないよ。』
小さな青い魚は緑色の魚に尋ねます。
『あなたは どうして そんなにおおきくて りっぱなんですか?』
月日が経つに連れて自然に大きくなった、という緑の魚は、青い魚を広い海に連れ出しました。
海の中はとても広くて楽しいところでした。
昆布の森や、一面の小石が広がる小石の原では、石の間の苔が食べ放題です。
金色の砂が光る空の見上げ場は、海の中に光が降りてきてとっても綺麗でした。
小さな青い魚は、緑色の魚と毎日散歩に出掛けます。
ところが或る日・・・。
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