卵がひとつ、ありました。
たまごのカラは、ずっと長いことたまごの中身を守っていました。けれど、中からとかげの子が生まれた時、卵のカラが『おめでとう』と声を掛けたのに、とかげの子は知らん顔で歩いて行ってしまったのです。
卵のカラは怒りました。
『ずっとあたしが まもってやってたのに ありがとうのひとことも なしかい。 あのおんしらず!』
でも、これからは自分自身の為に生きるんだ、と決意した時、卵のカラに足が生え、手が生え、歩き出しました。
卵のカラは『たまごのカーラ』になったのです。
たまごのカーラは歌いながら歩いていきます。
高い山を越えて、どこまでも。
子供が産まれたらカラなんてただのごみくずだ、と言う輩には、カーラの空手チョップと後ろ回し蹴りが炸裂します。
『あたしはカーラ。なめんじゃないよ。』
なんともアネゴな卵のカラの旅は続きます。
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