せなけいこ・おばけえほんです。 昔々、見世物小屋がありました。
この見世物小屋の見世物師が中々のクセモノでした。
『目が三つで歯が二つの化け物』
と言って、お金を取って『ゲタ』を見せるのですから。
でも、そんなインチキな見世物小屋ですから、段々お客が来なくなります。
『なにか珍しいものは無いかなあ』
そう思っていた見世物師に、旅人が一つ目小僧に会ったと言いました。
見世物師は一つ目小僧を捕まえて大儲けしようと出掛けます。
途中の道標には
『是より比戸津目(ひとつめ)国へ八里』と書いてありました。
江戸から百里。
大きな原っぱの大きな木下に一つ目の女の子が一人いました。
見世物師はその女の子を呼び寄せると、捕まえて駆け出します。
でも女の子が大声を出したので、沢山の人が追いかけてきました。
見世物師は捕まってしまいます。
縄を打たれて奉行所へ連れて行かれて・・・。
そこで見たのは、お奉行様も、お侍も百姓も、みんな目が一つしかない『ひとつめのくに』だったのです。
自分では普通だと思っていることが、主観の違う人々から見れば異端でしかない、というお話。
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