昔々、秋田の国に八郎と言う山男が住んでいました。
八郎はとても大きな身体を持っていました。
それは、見る者がつい気持ち良くなってしまう位に伸びやかな身体です。八郎は海に向かって叫ぶ度に大きくなり、ついには山ほども大きくなってしまいます。
或る日、いつものように海に来た八郎は、小さな男の子が泣いているを見つけます。
訳を聞くと、毎年海が荒れるせいで男の子の親の田んぼが塩水を被ってしまい、駄目になってしまうのです。
今年も海水が田んぼを襲いそうなので、村が総出で海水を防ぎに奔走しているのでした。
八郎は男の子の村の人々を助けようと、山を動かして荒れた海から守ろうとします。
なんと、山を一抱えにして、荒れた海へ投げ入れたのです。
海は怒り狂って余計に荒れ狂いました。
山は『おらさみい、おらさみい』と嘆きました。
投げ入れた山だけでは、荒れ狂う海を防げないと思った八郎は・・・。
力強い線で描かれた八郎は、とても優しく頼もしく見えるのです。
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